第92章 直接人を押さえつけてキスするのは、難しいのか?

車は滑るように走り続け、宮本景太は黙ったまま、少女の整った寝顔を眺めていた。

数分後……。

彼は手を伸ばし、指の腹で彼女の口元に滲んだ涎をそっと拭う。

橘結衣の掌に抱えられたガラスの小さな水槽から、小さな亀がのそのそと這い出した。結衣の膝の上にぺたりと腹をつけ、首をにゅっと伸ばしてきょろきょろと辺りを見回す。

そのとき、宮本景太のスマホがぶるっと震えた。

画面に出た名前は、宮本誠也。

「景太、例のオルフィマダラガメ、お前のとこにあるって聞いたんだけど?」

景太は結衣の膝の上の亀を一瞥し、淡々と答える。

「……ああ」

肯定の返事を得た瞬間、誠也の声が弾んだ。

近年、亀飼育界...

ログインして続きを読む